日本を訪れた外国人が朝の通勤ラッシュを見てまず驚くのは、『日本には日本人ばかりがこんなにおおぜいいる』ということであるという。日本人と付き合うとき、複雑な多民族国家ではないことが、さまざまな人間関係や行動の基礎になっていることを忘れてはならない。
殆ど千数百年も血縁集団を中心とした社会が維持されてきた結果その社会やグループのなかではわざわざ言葉で言わなくても仕草一つで理解し合えるものや暗黙のうちに前提となっているようなことが多数存在するそれが分かり合えるのがウチ(内)の人間でありわからないものはソト(外)の人間としてお客様扱いされるのである
これは外国人に対してもおなじで日本の習慣や風俗を知らない人は、ガイジン(外人)として別各扱いで親切に扱われるが日本社会に深くコミットする人は変な外人と呼ばれる。
欧米で社会の基本は個人主義であるが日本では『間人主義』であるという人もいる独立した人格である個人が作る社会ではなく常に社会の中で生活する一人として人と人に間にいることを基本においた社会であるというのであるある人に意見を聞いても『みんなはどういっていますか』とききかえされることもよくあることだ。
ホンネとタテマエという言葉も日本人の間ではよく使われる。ホンネというのは本音つまり、本当の声であり、タテマエは建前で表向きの方針である。またホンネを個人の論理、タテマエを集団の論理としてとらえることもある日本人は表向きの方針や集団の論理であるタテマエを優先するが、その奥に本当の声個人の論理であるホンネが潜んでいることはよくある。
こうした、常に他人や社会を気にしながら生きる日本人の生活の中には、yesでもnoでも無い中間的であいまいな言葉がたいへん多い。「そのうちに」、「いずれまた」、「かんがえてみます」、『検討してみます』などはいずれも yesでも noでもない。あるときには上司や関係者の了承をあらかじめえておく「ねまわし」のためのかりのyesであったりあるときははっきり断ると相手を傷つけるのではないかとの配慮による婉曲な noであったりする。ただ、近年では国際的な商習慣を身に付けたビジネスもふえたので、yes、 noをはっきりさせる方向には向かいつつある
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