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医者もの(2)

作者:未知 文章来源:本站原创 点击数 更新时间:2004-5-17 20:27:00 文章录入:totti250 责任编辑:totti250

[ 手術中 ]    

弱井さんは、病院で胃の手術を受けました。麻酔から目が覚めた瞬間、頭にズキズキとすごい痛みが走ります。
「看護婦さん、頭が割れそうです」
「あらま。痛いのはお腹じゃありませんか?縫ったばかりですから」
「……そういえばお腹も痛いけど、頭の痛みの方が強烈なんです。ううう。あっ!ここ、コブができている。こんな大きなコブが」
あわてた看護婦さんは、先生を呼びに行きました。
「先生!205号室の弱井さん、頭に腫瘍のようなものができています。すぐ診てください!」
「ああ、弱井さんね。心配しなくていいよ」
「どうしてですか!あの大きなコブはいったい」
「手術中に麻酔が足りなくなったから、ああするしかなかったんだ」

[ それどころ ]    

ばく蔵さんは、友人の牛左衛門さんのお見舞いに行きました。
「牛さん、どうじゃな。具合は」
「う……。ぐ……」
あちこちチューブでつながれた牛左衛門さんは、しゃべることもできません。
「かわいそうじゃのう。息子さんに何か伝えたいことがあったら、この紙に書いてくれ。わし、ちゃんと持って行くぞ」
「ぐぅっ!!!」
「どうした!牛さん!どうした!」
牛左衛門さんは急いで走り書きしたかと思うと、急にぐったりし、帰らぬ人となってしまいました。
お通夜の日、ばく蔵さんは牛左衛門さんの息子に会いました。
「あんたに伝言はないかっちゅうて聞いたら、牛さんは死ぬ1分前にこれを残した。よっぽどあんたに伝えたかったらしい」
「え……。これが僕への伝言ですか」
『酸素チューブから足をどけろ』

[ 泣く暇もない ]    

「もしもし、山井です」
「ああ、山井さん、いらっしゃいましたか。よかった。こちら畑病院です。あなたに悪いお知らせと最悪のお知らせがあって、お電話しました」
「悪いお知らせと最悪のお知らせ……。じゃあまずは、悪い知らせの方から聞かせてください」
「はい。検査の結果が出たんですけど、先生は、あなたは残り1日しか生きられないと言っていました」
「えええ!な、なんてことだ!それが悪い知らせだったら、じゃあ最悪の知らせって何なんですか!」

[ それだけは ]    

てれ子さんは、お腹が痛くて病院に行きました。
「お腹が痛い?では早速、調べてみましょう」
涼しげな瞳で話しかけるその医者は、若くていい男でした。てれ子さんはもうウットリ。
「先生、お願いがあるんです」
「なんでしょう?」
「……キスしてください。ほんのちょっとチュッってするだけ」
「できません!それだけはできません!」
「そんな。お願いします。キスして。1回キスするだけだから」
「できませんって!それだけはできません!」
「どうして?1回だけ、ほんのちょっとチュッてするだけですってば」
「キスだけというのはできないんです!するなら最後までしないと」

「やさしい歯医者 ]    

「先生、なんですか、その機械は」
「これですか?歯を削る最新の機械です。ものすごくよく削れるんですよ」
「痛そうだな……。何分ぐらい削るんですか」
「ほんの1分ほどですみますよ」
「お金はどれぐらいかかります?」
「5000円です」
「1分で5000円!高いなぁ」
「うーん。そう言われればそうですねえ。1分5000円じゃあねえ」
歯医者は、じっくり30分間削り続けた。

[ 恋 ]    

「なあ。きみは患者に恋したことがあるか」
「ああ。医者だって恋はする。たまたま相手が患者だったというだけさ」
「……そうか。そうだよな。患者に恋したっていいんだよな」
「なんだよ、もしかしてお前」
「うん……。立場上、許されない恋かと悩んだこともあったけど、お前の話を聞いて安心した。患者に恋するのはいけないことじゃない。恋はすばらしい。恋の炎は誰にも消せやしない」
「でも、お前は獣医だろ」

[ 宣告 ]    

「わざわざお呼び立てして、すみませんでしたね」
「とんでもないです。先生、検査の結果がわかったんですね?」
「ええ。まあ」
「本当のことが知りたいんです! 正直に話してください」
「よろしいんですか」
「はい。覚悟はできています」
「わかりました。正直に言いましょう」
「お願いします」
「実はですね。そう長くは生きられません」
「ああああ……。どれぐらいですか。あとどれぐらい私は生きられますか」
「10……」
「じゅ、じゅう?10年ですか、10ヶ月ですか、まさか10週間なんてことないですよね?」
「……9……8……7……6……」



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