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茅盾詩集
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茅 盾 茅盾。(1896~1981)本名は沈徳鴻。字は雁冰。浙江省桐郷県の人。早くからヨーロッパ近代文学に親しむ、1920年≪文学研究会≫の発足と同時に主要メンバーの一人として参加。27年には武漢政府のもとで宣伝活動に従事したが『国民党と共産党』分裂後、作家活動として立つ。
1928~1930年日本に滞在、当時台頭したプロレタリア文学の左翼偏向を批判。1933年『子夜』を完成した。建国後は文化部長。作家協会主席。リアリズム作家として魯迅の後継者といわれた。
新疆雑詠(四首之一) 暁來試馬出南関。 暁來 馬を試みて南関を出る 萬樹銀花照両間。 萬樹 銀花 両間を照らす 昨夜掛枝勞玉手。 昨夜 枝に掛かり 玉手を勞す 藐姑仙子下天山。 藐姑仙子 天山を下る 玉手⇒女の美しい手。他人の手の敬称。 藐姑⇒藐姑射之山。仙人が棲んでいると伝える山。を形容する
渝桂道中口占 存亡関頭逆流多。 関頭を存亡 逆流 多し 森厳文網欲如何。 森厳たり文網 如何と欲す 駆車我走天南道。 車を駆て我は走る天南道 萬里江山一放歌。 萬里 江山 一に放歌する 森厳⇒おごそかでおももしいさま。整粛なさま。 文網⇒法の網 放歌⇒思うままに声高く歌う。
渝桂道中雑詠詩、寄桂友 両難啼笑喚荷荷。 両つながら啼笑し難く 荷荷と喚ぶ 尚有豪情論史麼。 尚ほ豪情の論史有り麼? 寂寞文壇人寂寞。 寂寞たる文壇 人寂寞 何当買酔一高歌。 何ずれまさに酔を買うて一に高歌すべし 荷荷⇒どなる声
戯 筆 南腔北調話家常。 南腔 北調 家を話すこと常なり 眉黛唇紅鬥静妝。 眉黛 唇紅 静妝を鬥かわす 昨夜東風來入夢。 昨夜 東風 來りて夢に入り 横堤十里楫声狂。 横堤 十里 楫声狂なり 鬥⇒「たたかう」意を表す 楫声⇒舟かじの声
再贈陳此生伉儷 畫筆曽描戦士魂。 畫筆 曽つて描く戦士の魂 文章直指獨夫心。 文章 直に指す獨夫の心 風雲五月何凶険。 風雲 五月 何の凶険 勇者居之渾不禁。 勇者の居は之れ渾べて禁ぜず
觀北崑劇院初演≪紅霞≫二首 (一) 渾斥風雷誑白匪。 渾て風雷を斥て白匪を誑る 喝開雲霧耀紅霞。 喝して雲霧を開き 紅霞に耀く 哀絲豪竹煩英傑。 哀絲 豪竹 英傑を頌える 此是北崑躍進花。 此は是れ北崑 躍進の花 誑⇒いつわる。たぶらかす。
曲芸会演片段四首 (一) 夢裏悲歓紅月娥。 夢裏 悲歓 月娥紅いなり 豈縁愛欲走邪魔。 豈に愛欲に縁って邪魔に走んや 女児心事英雄膽。 女児の心事 英雄の膽 礼教雖巌奈若何。 礼教 巌と雖も若れいかんせん 月娥⇒月の異名
祝日本前進座建立三十周年(二首之一) 歌舞伎伝三百年。 歌舞伎は伝る三百年 為民服務看今日。 民のための服務 今日看る 継承発展翻新芸。 継承し 発展 新芸を翻えす 卅載鬥争歩歩前 卅載 鬥い争い 前に歩歩す 歩歩⇒ひとあしひとあし。一歩一歩。
為波莱尼茨美女餐庁題詩 波莱尼茨好風景。 波莱尼茨 好風景 美女餐庁進一觴。 美女 餐庁 一觴を進める 多謝主人親切意。 多謝す主人 親切の意 紅(王+攵)耀眼白(王+攵)香。 紅(王+攵) 眼を耀す白(王+攵)香。 (王+攵)⇒はまなす。海邊にはえるバラ科の落葉低樹
聴演奏蕭邦名曲二首(一) 海潮澎湃動風雷。 海潮 澎湃し風雷を動かす 明月松涛意境幽。 明月 松涛 意境幽なり 無限樂觀弦外趣。 限り無き樂觀 弦外の趣 波蘭舞曲最風流。 波蘭の舞曲 最も風流 樂觀⇒楽しみ見る。
椰園即興 六鰲釣罷海無波。 六鰲 釣り罷て 海に波 無く 斜雨趁風幾度過。 斜雨 趁風 幾度か過ぐる 安不忘奇長警覚。 いずくんぞ奇を忘れず長しえに警覚 軍歌声裏跳秧歌。 軍歌 声裏 秧歌に跳る 警覚⇒危険や状況の変化に敏感である。機敏である。
六十二年元旦 莫向双丸怨逝波。 双丸に向て逝波を怨む莫れ 祇愁歳月等閑過。 祇だ歳月を愁い 等閑に過ぎる 読詩漸少多読史。 詩を読もこと漸く少く 史を読むこと多し 不為愚忠唱輓歌。 愚忠の為ならず 輓歌を唱う 輓歌⇒①とむらいの歌。②人に死をいたむ詩歌。
開羅雑感 挙世争伝七景奇。 世を挙げて争い伝う 七景の奇 斜陽三塔影迷離。 斜陽 三塔 影は迷離 英雄幾輩鬥蝸角。 英雄 幾輩 蝸角と鬥う 流水湯湯逝者斯。 流水 湯湯 逝く者は斯し
為新編≪西相記≫作 辛勤翻案譜青陽。 辛勤 翻案 青陽を譜す 敢與前修較短長。 敢て前修と 較や短長 人物満場誰最勝。 人物 満場 誰か最も勝る 柔情傲骨一崔娘。 柔情 傲骨 一崔娘
偶成 蝉蜩餐露非高潔。 蝉蜩 露を餐して 高潔に非らず 蟷螂転丸豈貧痴。 蟷螂 丸を転じ 豈に貧痴ならん 由来物性難理説。 由来 物性 理説し難し 有不為焉有為之。 焉に為ならず有り之が為に有り
為沈本千畫師題≪西瑚長春図≫ 四首 (一) 祖国畫壇千百宗。 祖国の畫壇 千百宗 或矜秋蕭或春(禾+農) 或は秋蕭を矜び 或は春(禾+農) 吸収精粋棄糟粕。 精粋を吸収して 糟粕を棄てる 師法工農攀頂峰。 師法 工農 頂峰に攀る
読毛主席詞有感 深謀遠慮制機先。 深謀 遠慮 機先を制す 為保江山紅萬年。 江山を保つが為 萬年に紅なり 献歳春雷震寰宇。 献歳の春雷 寰宇を震わす 新詞光焔燭雲天。 新詞 光焔 雲天に燭す
敬愛的周総理輓詞 二首 (一) 衣冠剣佩今何在。 衣冠 剣佩 今何ずこに在る 偉績豊功萬古存。 偉績 豊功 萬古に存す 錦綉江山添異彩。 錦綉の江山 異彩を添え 骨灰撒處見忠魂。 骨灰 撒く處 忠魂を見る
贈曹禺 当年海上驚雷雨。 当年の海上 雷雨に驚く 霧散雲開明朗天。 霧散じ雲開く 明朗の天 閲尽風霜君更健。 閲み尽す風霜 君更に健なり 昭君今継越王篇。 昭君 今継ぐ 越王の篇
懐老舎先生 為絜青夫人作 老張哲学趙子曰。 老張の哲学 趙子は曰く 祥子悲劇誰憐恤。 祥子の悲劇 誰か憐恤す 茶館龍溝感慨多。 茶館の龍溝 感慨多し 君卿唇舌生花筆。 君が卿 唇舌 花筆を生じる
参考資料:茅盾詩詞集・上海古籍出版社。 茅盾詩詞集(後記抜粋) 此の詩詞集は142首詩詞、大部分は旧体詩(漢詩)詞全部である。解放前のが祇だ17首有り、父・茅盾が言ったのは、解放前は新詩を提唱し、旧体詩は祇だ個人の愛好したものである。・・・・・・・・・・・・柳亜子先生等友人が唱和し父親の散逸した詩詞を集めたものである。 沈霜・陳小曼・1982・12
・・・・・・・・・・・・・・・・・α・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 茅盾(子夜など、実在論者)に『霜葉紅似二月花』と言う長編小説がある。(1943年刊)。「紅於二月花」を「紅似二月花」と変えて題名したもの。茅盾はその理由を 一見ほんものの二月の花のように 行動している一群の人人が 実際は紅葉した葉であって間もなく散り落ちて行く運命にある。その次第を描きたかった からだと言う。つまり 紅葉はほんものの赤い花よりも赤く見えることもあるが所詮は似て非なるものである と言う意味で 「霜葉紅似二月花」 と題したと言う。 | |
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