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保護色

作者:未知  来源:本站原创   更新:2004-5-17 20:19:00  点击:  切换到繁體中文

 

保  護  色   
   オフィスの片隅の机で、エス氏は事務をとっている。地味な服、地味なネクタイ。外観ばかりでなく、地位もぱっとしなかった。単なる平社員で役つきでなかった。
   「社長がおよびです。」
    と、女事務員がやってきて告げた。それを聞いたエスは、首をかしげながら、心配そうな表情で立ちあがった。
    何の用事なのだろう。自分のような下っ端社員を、社長が名指しで直接に呼ぶとは。こんな場合、たてい、ろくなことではないはずだ、もちろん、いままでに会社に損害をかけるといった、悪事をした覚えはない、というものの、ほめられるようなこともまた、してはいなかった。しかし、やはり、なにかで怒られる
のだろう。あるいは、もっと悪いことかも...。
    不言な予感を、頭を振って追い払い、こわごわ社長室に入った。社長はきげんのいい声、エス氏を迎えた。
    「まあ、そう固くならず、その椅子にかけてくれたまえ。」
    「はい、しかし、どんなご用でしょうか。」
    「じつはな、きみに辞令を渡そうと思って呼んだのだ。」
    「はい、覚悟しておりました。退辞の辞令でごzしましょう。わたしの働きぶりが、めざましいものでないことは、じぶんでもよく承知しております。」
    「いやいや、誤解しては困る。退職ではなく、昇進だ。わしの秘書になってもらいたい。そして経営の仕事を見習って、いずれは重役になってもらいたいのだ。どうだね。」
    と社長は言った。いやな話ではないだろう、といった口調だった。しかし、エス氏はさらに緊張し、手を振ってこたえた。
    「とんでもございません。わたしのようなものに、そのような地位は、とてもつとまるものではございません。」
    「いや、そんなことはない。きみが最適だと目をつけたのだ。」  
     「なぜでございます。この会社には、何百人という社員はおります。その中で、私などは最も目につかない、特徴のない存在だと思っておりますが。」 
     「そこなのだ。たしかに社員は多い。だが、だれもかも、ひとを押しのけて出世したがる者ばかりだ。その点、きみはちがう。自分の手柄となるべき仕事でも、ひとに功績をゆずっているうわさだ、調べてみると、たしかにそうだった。」
     「はあ、申し訳ありません。そのようなことが、あったかもしれません。」
     「経営者にとっては、おれがおれがと自己宣伝する社員よりも、きみのように、社の仕事と地味にとりくむ社員が貴重なのだ。また、きみの生活の調査もしてみた。酒場がよいもせず、規則正しい日常だ。それに社の内外で、むだ口を決してきかない。きみなら、どんな重要な機密事項をも、安心してまかせることができる。まったく、いまどき珍しく、たのもしい人物だ。」
      社長のほれこみようはとどまるところを知らなかった。
     「しかし、秘書だの重役だのという言葉は、聞いただけでも気が遠くなります。わたしは今の地位で十分満足しております。せっかくのおはなしですが、ご辞退いたします。」
      エス氏は手のひらを相手にむけ、どもりながら頭をさげた。しかし、社長がうけつけなかった。
     「じつに感心だ。欲がない。このせちがらい世の中で、得難い性格だ。そういう人物こそ、片腕となって働きもらいたいのだ。遠慮することはないだぞ。」 
     おほめいただいて、ありがたいとは思いますが、お断り申し上げたいと...。」
     「いかん。これは命令だ。移動はすぐ発表する。昇給はいうまでもない、あしたから、きみは秘書室に移るんだ。そうだ。帰りがけに、お祝いのいみで一席もうけることにしょう。都合はどうかな。」
      社長は、すばらしい人材を発掘えきたことを喜び、上機嫌だった。
     「それでしたら、あすの晩にお願いいたします。」
      エス氏は力なく社長室を出た。やれやれ、困ったことになった。今晩すぐにや逃げをし、またも別な職をさがさなければならない。
      エス氏は数年まえ不運にも偶然のことから、ある殺人事件を目撃してしまった。密輸組織にからんだ殺人だった、そして彼が目撃したことを連中のほうで目撃し。顔を覚えられてしまったのだ。まさしく不運なことと言わねばならない。
      その場はうまく逃げたものの、ずっと追われ続けている。警察に申し出ようかとかがえたこともあったが、こっちの所在を明らかにすることもなる。また、保護してもらうと言っても、たえまなく、ずっとということは期待できないだろう。
      それ以来、なんとか目たたない生活を送ろうと、ひたすら努めてきた。しかし、地味な存在になろうと努力すればするほど、いつも昇進となる。地位がさげって交際が広くなるのは絶対に避けなければならないのだ。一味のやつらに見つかりでもしたら、たちまち、どこからもなく弾丸が飛んでこなとも限らない。
      昇進とは、とんでもないはなしだ、そのため、すでに三度ほど会社をかえてきた。事情は打ち明けられない。うわさが広がっては困るのだ。そして、なた今度も。どうも生活しにくい世の中だ。
      昇進しない方法はないものだろうか。そうだ。突然エス氏は悟った。なぜ気がつかなかったのだろう。心がけが悪かったのだ。今度会社変えたら、みなと同じにやればいいのだ。他人を押しのけ、功績を横取りし、足をひっぱり、昇進を要求し、しゃにむに出世しょうとしさえすれば...


 

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