野　　球  　   　今や野球は日本人の国民的スポーツである。するスポーツとしても、見るスポーツとしても、本家アメリカの人気を凌駕するほどだ。  一、高校野球  アマチュア野球の人気のトップは毎夏、開かれる「甲子園大会」(全国高等学校野球選手大会)だろう。北海道から、沖縄まで全国の予定を勝ち抜いた代表校の球児たちが日本一をかけて、甲子園で、熱戦を繰り広げる。このときばかり日本人も郷土意識に燃えて応援し、テレビの中継放送は高視聴率を記録する、活躍した球児たちがマスコミの人気者になるのは言うまでもない。甲子園大会は戦前から行われ、1985年で既に67回を数え、参加校は3791校にあがった。春には同じ甲子園で「選抜大会」が開かれている。 二、プロ野球  高校野球の人気は春と夏に限られるが、一年を通じて、広いファンの関心を呼んでいるのがプロ野球である。サラリーマンは、昼となく夜となく野球談義に花を咲かせ、人気チームや上位チーム同士の対戦の中継放送は高視聴率を記録する。プロ野球が始まったのは、野球が日本に伝えられてから、60年ほどだった1934年だが、今日のような隆盛は戦後からである。わけても伝統チーム「読売ジャイアンツ」の長島茂雄と王貞治はプロ野球が生んだ国民的ヒーローで、王選手は1977年にはホームラン756本を打ち、ハンク·アーロンを抜いて世界記録を樹立、1980年に引退するまで通算868本のホームランを記録した。外国人選手もいわゆる助っ人として参加しているが、しばしばカルチァー·ギャップが取りざたされるのは日米文化比較の点で興味深い。  現在セントラル、パシフィックの2リーグ、各6球団、計12球団があり、シリーズの終わりには、両リーグの覇者が日本一を決める。  三?アマチュア野球 　  　大学野球は、今日では人気の点は高校野球にゆずるものの、東京6大学はじめ、首都、関西の大学など、各リーグ戦が春秋行われ、ファンを沸かせている。1985年で14回になる日米大学野球も日米で交互に開催され、近年人気がたかまっている。  　ノンプロの「都市対抗野球大会」は企業の野球チームが代表となって戦うもので、甲子園大会が郷土意識の発露とすれば、都市対抗は企業意識のそれであり、いずれも野球の日本的適応と言えるだろう。このほか、リトルリーグ、草野球なども、広く人々に親しまれている。