人間の本当の「明るさ」とは、社交的であることや、弁が立つということではありません。 明るさとは、ものごとのとらえ方の問題です。 内向的な性格の人でも、口下手な人でも、明るく生きることは可能です。 むしろ、一方的にしゃべりまくる人や、何かにとり憑かれたようにいつも活動的に動き回っている人は、「そうしていないと不安だから」という衝動に突き動かされているだけで、実は自分の暗さを必死で押し隠している人だと言えるのかもしれません。
また、明るい人というのは、いいことばかり、楽しいことばかりを考えている人のことではありません。辛いことから目をそらすのは、単に人生から逃げているだけです。 本当に明るい人とは、どんなことでも受け入れる心の深さをもっている人のことなのです。それも、深刻にとらえるのではなく、柳に風と、軽く受け流すことができる人のことです。
暗い性格の人は、困難を克服するために、「もっと強くならなければいけない」と、堅苦しく自分に言い聞かせてしまいがちです。他人にナメられてはいけない、はっきりと自己を主張しなければいけない、逆境にくじけてはいけない、弱音を吐いてはいけない……。 何にでも真正面から立ち向かい、それに打ち克つことが強さだと思い込んでいるのです。 自分を叱咤激励し、心にむち打ち、結局はへとへとに疲れてしまい、「強くなれない自分」に嫌悪感を抱いてしまいます。 つまらないことにエネルギーを使い果たし、人生を楽しむ余裕を失ってしまっているのです。
大阪で根強い人気の吉本新喜劇では、ほとんどの出演者が、自分の身体的特徴をギャグにしています。 背が低い、アゴや鼻が大きい……。それらを気に病んでウジウジ悩むでもなく、卑屈に自嘲するでもなく、逆に自分のセールスポイントとして売り物にしているのです。 自分自身をユーモアで笑い飛ばすことの大切さを教えてくれます。
「強さ」ではなく、「しなやかさ」を得るように、考え方を変えてみてはどうでしょうか。 ガラスはゴムよりも硬いですが、落とせば粉々に割れてしまいます。ゴムは柔らかいものですが、叩き割ることはできません。 視野を広くもち、ものごとを一方向からだけではなく、さまざまな角度から眺めてみてください。「勝つか、負けるか」の二者択一ではなく、「柔軟に受け流す」ということも選択肢に入れてみてもいいのではないでしょうか。受け流すということを、「逃げ」や「あきらめ」のように否定的にとらえることはありません。せっかく与えられた人生を前向きに楽しもうという、積極的な態度なのです。 「柔よく剛を制す」の言葉どおり、幸せに生きるために必要なものは、強さではなく、しなやかさなのです。
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