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金城湯池

作者:未知  来源:日本ネット   更新:2004-11-13 19:20:00  点击:  切换到繁體中文

 

 強大な秦の国も、始皇帝が死に、暗愚な二世皇帝が即位すると、土台
が揺らぎ始め、各地に潜伏していた戦国時代の旧六強国の宗室、遺臣た
ちが、そろそろ頭をもたげ、秦打倒に立ち上がった。そして、めいめい
に王と称して兵を起こし、郡県の長を殺し城市を占領して気勢を上げ、
秦室の威令はまったく地に堕ちた。
 
 そのころ、武臣という人が趙の旧領地(山西省)を平定して、武信君と
号した。これを見たカイ通という范陽(河北省)の論客が県令の徐公に言
った。
 
 「あなたはいま、非常に危い状態におかれていらっしゃるので、
  お見舞申し上げます。
  しかし、この私の言を聞き入れられますならば、
  反って幸福になられましょうから、お喜び申し上げます。」
 
徐公は驚いて言った。
 
 「なぜ危いのですか?」
 
 「考えてもご覧なさい。
  あなたが県令になられてから十余年、
  その間、秦の刑罰がきびし過ぎたため、
  親を殺された子、足を切られた人、
  いれずみをされた者などが非常に大勢います。
  内心ではみんな非常に秦を、
  いや直接にはあなたを恨んでいますが、
  誰もあえて、あなたを殺そうとはしませんでした。
  それは秦がこわいからです。
  しかし、いまは天下が乱れ、秦の威令は行われていませんので、
  人々はいまこそ、あなたを殺して恨みを晴らし、
  名を挙げようとしています。
  これがお見舞を申し上げる理由です。」
 
 「では、君の言を聞けばうまく行くから、慶びをいうというのは?」
 
 カイ通はひざを乗り出して、次のように答えた。
 
 「私はあなたに代わって武信君に会い、こう言いましょう。
 
  『戦いに勝って土地を取り、攻めて城を降すのは危険なことです。
   私の計略を用い、戦わずに土地や城を、
   手に入れる方法をとられてはいかがです。』と。
   武信君はきっと、
  『それは、どういう方法か?』
 
  とたずねるでしょう。そしたら私はいってやります。
 
  『もしあなたが范陽を攻め、県令が力尽きて降参した場合、
   県令を粗末に扱われるならば、
   死を恐れ、富貴を望んでいる諸国の県令たちは、
   「せっかく降参したのに、あんな目に遭わされては損だ」と、
   ますます軍備を充実し、沸き立つ湯の池に囲まれた、
   銅(金)の城(金城湯池)のように鉄壁の守りを固めて、
   あなたの軍勢を待つでしょう。これでは攻められますまい。
   私はあえて忠告いたします。
   どうか范陽の県令を手厚く迎え、諸方へ使いにおやりなさい。
   諸方の県令たちは、それを見て、
   「范陽の県令は、いち早く降参したために、
    殺されるどころか、反ってあんなに手厚く遇されている。
    では一つ自分も・・・・」
   ということになり、みな戦わずに降参するでしょ。
   これが千里の彼方まで、わけなく平定する方法です』
 
  とこういえば、武信君もきっと聞き入れるでしょう。」
 
 徐公は喜んで、さっそくカイ通を武信君の所へやった。武信君も、通
の話を聞いて「なるほど」と感心し、范陽の県令を手厚く招き、方々へ
使いに出した。范陽の人々は、戦火を免れて非常に徐公を徳としたし、
戦わずに武信君に降るものが、華北だけで三十余城もあったという。
 
 のちに、韓信もカイ通の言をきいて燕・斉の地を攻略した。
                   (「漢書」武信君・カイ通伝)
 
 
 なお「史記」には「始皇帝は関中の地を金城千里の地と思った」とあ
り、「漢書」には「石城十仭、湯池百歩」、更に「後漢書」にも「金湯
の険を失う」と出ており、古来、守りの固いことを称する言葉として、
しばしば使われている。大砲や飛行機のなかった時代の防備は、金城湯
池でよかったのだろうが、いまはそうもゆくまい。
 
 


 

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